中学受験か高校受験で迷ったときに―保護者が知っておくべきポイント
更新日:2024/06/28中学受験をする人の割合は地域によって大きく異なりますが、首都圏では約5人に1人が挑戦しています。中学受験に向けた勉強は遅くとも小4からスタートするのが一般的で、塾で小4のカリキュラムが始まる小3の冬頃から、多くの子どもたちが中学受験対策として塾に通い始めます。周囲に中学受験をめざすご家庭が多い地域にお住まいであれば、「うちの子も中学受験させたほうがいいの?」と迷われるかもしれませんが、中学受験と高校受験のどちらがより良いかの判断は、教育方針やお子さまの性格など各ご家庭によって異なります。まずは中学受験と高校受験、それぞれを選択した時のメリットやデメリット、気をつけておきたいポイントを理解しておきましょう。
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目次
中学受験と高校受験の違い
お父さま、お母さまの中には、「自分が小学生の頃は、中学受験をするのはごく一部だけだった」と思われる方が多いかもしれません。昔と比較すれば中学受験をする人の割合は増え、メディアにもよく取り上げられていますが、全体から見れば今でも少数派だというのが実情です。中学受験を検討するうえでまずは高校受験との違いを理解しておきましょう。
偏差値
中学受験と高校受験では、偏差値の考え方に大きな違いがあります。ほとんどの中3の生徒が受験する高校入試と異なり、中学入試では、受験に向けて本格的に勉強している児童だけが母集団を形成するため、偏差値が低くなります。高校受験の偏差値と比較すると、中学受験の偏差値は10以上低く出るとも言われています。多くの小学生が受ける模試の偏差値50と、中学受験をする小学生だけが受ける模試の偏差値50では、まったく意味が違ってくるのです。
入試問題
入試問題も、中学受験と高校受験では大きな違いがあります。中学受験の場合、私立中学の入試問題は内容・難度が学校ごとに異なります。なかでも難関校は、学校で習った内容だけでは解くことのできない出題が多く、志望校対策の学習をしなければ合格することはできません。また、近年人気が高まっている公立中高一貫校では、読解力や表現力が問われる独自の適性検査が行われるため、演習問題等を通じた受検対策が欠かせないといえるでしょう。一方、高校受験の場合、公立高校の入試では中学校の教科書の範囲から出題されることが基本です。教科書の内容をしっかりと身につけておけば解ける問題ばかりともいえます。しかし、私立高校では、私立中学と同様に学校独自の問題が出題され、難関校では教科書のレベルを超えた難問が出題される傾向にあります。
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内申点の扱い
公立高校の受験は、中学校の評定を内申点と呼び、入試の合否判定に使われます。内申点は定期テストの成績を中心に点数が付けられますが、授業態度や提出物の状況なども加味されます。そのため、お子さまの生活態度によっては、定期テストの点数よりも低く配点されてしまうこともあります。
心配する保護者の方も多いですが、近年の公立高校受験は内申点よりも学力試験の結果を重要視する制度に変更されてきています。特に難関校はこの傾向が高く、内申点が低くても学力試験の結果が良い場合は合格する可能性も高くなっています。そして、私立高校では内申点が利用されないことも多いです。
一方中学受験では、私立中学の多くは内申点(調査書・報告書)を利用しません。しかし、公立中高一貫校では調査書・報告書を利用することも多く、受験する学校により内容が違いますので、入試要項を確認しましょう。
精神面のサポート
中学受験は早熟で自己管理のできる子が有利といわれていますが、競争心のある子も塾やライバルなど周りの環境が整っているとよりいっそう頑張れます。とはいえ、10歳前後の子どもが毎日何時間も勉強するのは、1人では乗り越えられません。保護者の方の精神面でのサポートがとても重要になります。
逆に高校受験は、本人主体で乗り切る要素が強い受験です。思春期と時期が重なるがゆえに、本来のポテンシャルを発揮できないケースもありますが、初めて1人で受験という大きな課題を乗り切る経験が、精神的にも成長させます。保護者の方があまり手を出してしまうとうまくいかないこともあるので、ほどほどの距離をとる必要があります。
わが子にはどちらが向いているのか?
中学受験と高校受験のどちらを選ぶのか。お子さまにとっても保護者の方にとっても大きな選択ですので、悩まれる方が多いと思います。明確な判断基準があるわけではありませんが、「中学受験が向いているご家庭」「高校受験が向いているご家庭」の2つに分けて検討する際の参考となるポイントを紹介します。
中学受験が向いているご家庭
教育方針が固まっている
お子さまの個性や長所を理解したうえで、「将来はこのように育ってほしい」「この分野の力を伸ばしていってほしい」など、ご家庭の方針が明確であれば、中学受験はおすすめです。お子さまの得意分野に強みを持つ学校や、教育方針に共感できる学校を選ぶことで、早いうちからお子さまの長所を伸ばす可能性を広げられます。
「親子二人三脚」で取り組める
「中学受験は親の受験」といわれるほど、親が果たす役割は大変大きいです。志望校選びや日々の学習スケジュールの管理、学校生活と塾との両立など、志望校合格まで親子二人三脚となって取り組む体制が整っていることが重要です。そのため、ご両親が共働きですと、仕事と受験の両立はかなり大変であると一般的にいわれていますが、栄光ゼミナールでは「ご家庭にはできるだけ負担をかけない指導」を方針にしています。“わからない”を放置せず、じっくりとサポート、授業外の時間も質問可能です。また、共働きのため家で見てあげることの難しい家庭学習は自習室の利用を促しています。もちろんすべてが塾で解決できるというわけではありませんが、塾とご家庭が連携することで中学受験のハードルを越える解決策をご提案いたします。
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大学受験を優位に進めたい
ほとんどの私立校では中高一貫教育が基本です。高校受験がないため、高校進学のタイミングで学習カリキュラムが分断されることがありません。また、私立校の多くが、中学校・高校の6年間で習う内容を5年間で学び、残りの1年を大学受験対策にあてるなど、大学受験を見据えた体制を整えています。高校受験に時間を割かれることなく、腰を落ち着けて大学受験に備えてほしいというご家庭には、中学受験が向いているといえるでしょう。
<都内の女子校希望者は注意が必要>
近年、都内の私立女子校では、高校からの入学者募集を停止する学校が増えています。この傾向は難関校に多く、優れた進学実績を持つ豊島岡女子学園(豊島区)も高校受験の募集を2022年から停止しました。こうした背景には、首都圏における中学受験率の上昇や少子化の影響、また中学3年間で培われた学校の文化に高校から入ってきた生徒がなじみにくいなど、さまざまな理由があると言われています。いずれにしても高校受験で難関女子校をめざすには、高校募集をしている慶應義塾女子高等学校(港区)やお茶の水女子大学付属高等学校(文京区)など、非常に狭き門への挑戦となることを理解しておきましょう。また、都立高校は原則全校が共学のため、女子高という選択肢はありません。都内で難関女子校を目指すご家庭であれば、中学受験を念頭に置いておく必要があります。
高校受験が向いているご家庭
子どもの主体性を育みたい
中学受験はお子さまが小学生のため、親が主導するケースがほとんどです。しかし、中学生になるとお子さま自身が自分の意見や意思を持つようになりますので、高校受験では親はサポートする立場となります。お子さまに自主的に受験勉強を進めてほしい、高校受験を通じて主体性を磨いてほしいと考えているご家庭は、高校受験という選択がおすすめです。
多様性に触れてほしい
入試というふるいにかけられ、ある程度近いレベルの学力を持った生徒が集まる私立中学や公立中高一貫校と違い、公立中学校には、同じ地域に住むさまざまな生徒が集まるため、多様性を理解するのに適しています。多感な時期にさまざまな価値観と触れることで、人間性を育んでほしいという希望があるのであれば、あえて中学受験をしないという選択肢もあるでしょう。また、地元の公立中学に進学すれば、小学校時代の友人とそのまま過ごすことができるという安心感もあります。
時間をかけて高校受験に臨んでほしい
小学生のうちから高校受験を見据えて学習を続ければ、十分な時間をかけて受験の準備が整えることができます。お子さまの意向を尊重した生活を送りながら、じっくり受験勉強に取り組んでほしいというご家庭であれば、高校受験に向いているといえるでしょう。この場合、大切なのは早い段階で高校受験への意識をしっかりと持ち、学習を進めることです。志望校は途中で変わっても構いませんができるだけ具体的な目標を立て、着実に学習を進めていきましょう。
中学受験と高校受験、それぞれの注意点は?
中学受験をする小6と高校受験をする中3。その差はわずか3年でも成長期のさなかにある子どもたちにとっては大きな差があります。中学受験と高校受験、それぞれを選んだ際に注意すべき点についても理解しておきましょう。
中学受験は精神力が問われる
中学受験をするには膨大な学習量が必要です。小4から受験に向けた勉強を始めた場合、小学校生活6年間のうちの約半分を受験勉強に費やすことになります。受験をしない友だちが自由に遊んでいるのを横目に、努力しつづける強い精神力を持つことができるかが、最終的な合否を分ける大きなポイントとなるほどに大変重要な要素です。また、お子さまを支えるご家庭の負担も大きくなりますが、中学受験を乗り切ったあかつきには、親子の絆が深まり、お子さまの大きな成長を感じることができることでしょう。
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思春期と重なる高校受験
高校受験は中学受験とは一転、子どもが主体で受験を進めていきます。中学生になって思春期を迎えると、親に対して反抗的な態度をとったり話を聞かなくなったりするため、保護者の方は受験勉強の進捗にやきもきすることも多くなるでしょう。多くのご家庭が通る道とはいえ、支える親もストレスを抱えながら受験期を過ごさなければならない可能性があります。しかしながら、高校受験を乗り越えた子どもたちは、自分で自分をコントロールして目標に到達した達成感を感じ、大人な顔つきになります。独り立ちへの一歩を踏み出したことで、保護者の方もお子さまの成長を感じることでしょう。
選択に迷った時のアドバイス
中学受験と高校受験の違いについて紹介してきましたが、お子さまのことを思えばこそ、なかなか結論を出せないという方も多いと思います。子どもの成長スピードは1人ひとり違うもの。大切なのはまわりと比較せず、お子さまにとってどちらがよいのかを第一に考えることです。下記をヒントにじっくり考えてみてください。
学校生活と将来像をイメージする
お子さまに将来どのように成長してほしいのか、希望をイメ―ジすることが大切です。何か一つのことに集中して取り組めるようになってほしい。世界に羽ばたけるようになってほしい。など、漠然とした希望で構いません。
次に、お子さまに小学生として、中学生として、どんな学校生活を送ってほしいのかを具体的にイメージしてみてください。一心不乱に勉強に打ち込むことになる受験の時期をいつ迎えるかによって、お子さまの学校生活は大きく変わってきます。
お子さまにとっての理想的な学校生活を考えると、中学受験と高校受験、どちらがそのイメージを叶えるためにふさわしいかが見えてくるはずです。
子どもの声に耳を傾ける
まずは、受験の当事者であるお子さまの意見をしっかりと聞いてみましょう。親の主張が強すぎると、お子さまが意見を言いづらくなってしまうこともあります。親と子、それぞれが正直な思いを口に出し合うことが大切です。意見がぶつかって話し合いが進まないようなら、学校や塾の先生など、受験に精通した第三者の意見も取り入れながら、家族みんなが納得できる結論を導き出しましょう。
栄光ゼミナールなら中学受験・高校受験どちらの選択肢もサポートできます
中学受験と高校受験のどちらが良いのかは、お子さま一人ひとりの性格や適性によって異なります。お悩みの方はぜひ一度栄光ゼミナールにご相談ください。栄光ゼミナールなら、受験のプロフェッショナルとして、これまで多くの受験生たちをサポートしてきた実績をもとにお子さまのタイプを分析。どちらの受験が向いているのか、どのような準備が必要かなど、じっくりとアドバイスさせていただきます。また栄光ゼミナールでは、中学受験に向けた対策を行う「中学入試準備コース」、高校受験を見据えた指導を行う「公立中進学コース」、さらに「公立中高一貫校受検コース」など、目標に応じたコースを設置。それぞれに特化した内容を効率よく学ぶことができ、難関校にもチャレンジする環境が整っています。中学受験と高校受験のどちらを選ばれても、目標に向かって努力する経験がお子さまの将来の力につながるよう、栄光ゼミナールが丁寧にサポートしてまいります。
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