高校受験でよくみる倍率の意味とは?
更新日:2024/05/30昨日、行きたい高校の情報を調べていたら、
倍率が4.0倍だったんだ...。
わたしは1.12倍だった。
倍率が低いってことは、合格しやすいってことよね。
どうしよう。
倍率が低い高校に志望校変えたほうがいいのかな?
倍率が低いと合格しやすいかというと、単純にそういうことではないよ。
倍率を知るのは、合格の可能性を判断する上でとても大切だ。
今回は、この「倍率」について学んでみよう。
志望校選びをしていると気になるのが「倍率」。
例えば東京都に住んでいる人なら、都教育委員会のホームページや新聞、情報誌などに「都立高校受験倍率」というものが掲載されています。
倍率が低いと合格しやすく、高いと合格しにくいイメージがありますが、実はよくわかっていない人も多いのではないでしょうか。
この「倍率」という言葉、実は様々な種類があり言葉によって意味が変わってくる難しい言葉なのです。使い方をよく理解していないと間違った受け取り方をして状況を誤解してしまうこともあります。
たかが倍率。されど倍率。
受験生として正しい倍率の意味を知り、数字に惑わされないようにしましょう!
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中学受験、大学受験の倍率についても意味や計算方法は変わりません。
ですが、それぞれの受験で注目すべき点に特徴があります。
中学受験・大学受験の倍率についてはこちらからご覧ください。
目次
高校受験の倍率とは?
あまり難しく考える必要はありません。倍率とは、
□人のうち、1人合格する。
という意味。この□に入る数字が倍率です。
たとえば倍率が5倍だとすると、「5人のうち、1人合格する。」ということです。つまり、4人は不合格になります。これは厳しい倍率ですね。では、2倍ならどうでしょうか。「2人のうち、1人合格する。」という意味になります。これは5倍に比べるとかなり合格しやすい状況だといえますね。単純に言うと、「倍率の数字が大きいほど合格するのが大変だ」ということです。倍率の計算式は次のとおりです。簡単に計算することができます。
受験する人の数 ÷ 募集定員
= 倍率
実際に計算してみよう!
問題1
募集定員が100名。受験する人が220人。倍率はどうなりますか?
答え
220÷100=2.2 2.2倍が正解です。
倍率には応募倍率・受験倍率・実倍率の3種類がある
倍率、倍率と言ってきましたが、実は倍率にはいろいろあります。次の表を見ながら、その意味を考えていきましょう。東京都は都立高校の出願・受験・合格発表のそれぞれの段階で入試データを公表します。その中からある年の都立高校の入試データをピックアップして並べたのが下の表です。
2月15日 最終応募状況
募集 人員 | 最終応募 人員 | 最終応募 倍率 | |
男 | 116 | 197 | 1.70 |
女 | 106 | 187 | 1.76 |
2月23日 受験状況
募集 人員 | 最終応募 人員 | 受験 人員 | 受験 倍率 | |
男 | 116 | 197 | 188 | 1.62 |
女 | 106 | 187 | 187 | 1.76 |
3月1日 合格発表
募集 人員 | 最終 応募 人員 | 受験 人員 | 合格 人員 | 実倍率 | |
男 | 116 | 197 | 188 | 124 | 1.52 |
女 | 106 | 187 | 187 | 106 | 1.76 |
さて、この右端の倍率の欄を見てみてください。
男子の欄の数値が
1.70→1.62→1.52
と変化していっていますね。
同じ1つの高校なのに、なぜだかわかりますか?
しかもよく見ると倍率の名前も変わっていますね。
最終応募倍率→受験倍率→実倍率
倍率の名前と数字が変わったのは、倍率計算式の分母と分子が変わったせいなのです。
しかし、試験当日、9人の男子受験生が欠席しました。
他の第一志望校に合格した人などは欠席することがあるので、欠席者が出るのは珍しいことではありません。計算は最終応募人員よりも新しい数字である実際の受験者数「受験人員」を使うことになります。
そして合格が発表されると、合格した人の人数は募集人員より多くなりました。原因は辞退者が数名出るのを見込んで多めに合格を出したか、あるいは合格者の最下位が同点で数人並んだケースなどが考えられます。
計算は募集人員ではなく、確定した合格人員を使うことになります。
「大した違いはないじゃないか」そう思った人もいるかもしれません。たしかに公立高校入試では大きく数字が動くことはあまりありませんが、私立高校の入試では最終応募倍率と実倍率がかけ離れているのはむしろ普通のことといえます。
実際に計算してみよう!
問題2
これは難関校として有名な私立高校の入試データです。
表をもとに、応募倍率と実倍率を計算してみましょう。
募集人員 | 最終応募人員 | 受験人員 | 合格人員 |
45 | 474 | 465 | 224 |
答え
倍率が全然違う!?
あまりの数字の違いにびっくりするよね。
原因は主に募集人員と合格人員の差が大きいことです。
私立高校を受験する受験生はいくつもの学校を掛け持ち受験することが多く、合格しても入学しないケースがたくさんあります。私立高校は毎年の様子からだいたい何割ぐらいの生徒が入学を辞退するかわかっているので、あらかじめ多めに合格者を出します。そのため、これだけ違う数字になってしまうのです。
せっかく倍率に注目するなら、「実倍率」を調べないと正しい感触は得られませんね。
応募倍率 【出願者数÷募集定員】 | 出願締め切り後に発表される倍率。 |
---|---|
受験倍率 【受験者数÷募集定員】 | 試験終了後に発表される倍率。病気で受験できなかった人や他の学校に合格し受験しない人が抜けるため、人数が減って倍率が下がる。 |
実倍率 【受験者÷合格者数】 | 合格発表後に発表される最終的な倍率。私立高校は併願する人が多く、入学辞退者を見越して多めに合格者を出すため、受験倍率と実倍率に大きく差が出ることがある。 |
1.0未満の倍率。その意味は?
都立高校などの最終応募倍率を見ると、たまに1.0よりも小さい数字の学校があります。
募集 人員 | 最終応募 人員 | 最終応募 倍率 | |
男 | 150 | 165 | 1.10 |
女 | 150 | 135 | 0.90 |
応募(出願)者の数が募集人員より少ないと倍率が1.0未満になることがわかります。この高校の女子のように1.0倍かそれ未満だと絶対合格できるのでしょうか。
実は、そうとは限りません。学校側には入学を認める最低のラインがあり、それを下回る人にはたとえ定員割れでも合格は出さないのです。
他の受験生との競争がなくても自分との戦いは残るということ。受験する高校が1.0倍以下でも、入学試験は一定の点数を取らないと合格できないので準備はきちんとしておきましょう。
高校ごとの倍率はどこで知ることができる?
高校ごとの倍率は各高校のホームページで情報を公開しているほか、公立高校は各都道府県の教育委員会のホームページでも見ることができます。教育委員会のホームページは一覧で見ることができるため、学校を比較するのにおすすめです。
倍率が高い学校ってどんな学校?
カリキュラムや大学の進学実績、部活動、設備、制服など、学校独自の特長が人気な高校は受験者が増えて倍率が高くなります。また、新たな学部が新設されたり、入試内容が変更になるなども倍率増加に起因します。
入試概要に変更があれば、必ず記載されるため、志望校のホームページは定期的にチェックするようにしましょう。
倍率が低い方が合格しやすいのか?
たとえば倍率が次のように異なる3つの高校があったとします。
- A高校 1.1倍
- B高校 1.5倍
- C高校 2.0倍
この中でいちばん合格しやすいのはどの高校でしょうか?
1番倍率の低いA高校だと思います
残念!
この問題の正しい答えは「わからない」なんだ
なぜかというと、3つの高校に集まる受験生のレベルが不明だからです。
もしも【図1】のように、A,B,C高校がだいたい同じ偏差値なら、倍率が低い方が合格しやすいと言えます。
ですが、【図2】のように学力差があるとしたら、倍率に関係なくいちばん合格し易いのは偏差値の低いB高校です。そして、1.1倍でも偏差値の高いA高校がいちばん合格しにくいですね。
まとめるとこうなります。合格の可能性を考える時、いちばん重要なのはその学校の受験生たちと勝負できる力を持っているかどうかです。そして、実力に見合う高校を受験するとき、倍率が意味を持ってきます。
よって倍率をみる時は同じ高校を受ける受験生の中で自分のだいたいのポジション(順位)と入試の倍率の両方を確認して、どのくらい合格の可能性があるか判断するようにしましょう。
仮に、あなたが上の図のxのような、その学校を受験する生徒の中でも成績上位にいるとすると、1.1倍ならまず不合格の心配はありません。2.0倍だとしても合格する可能性の方が高いと言えます。
でも、受験生のうしろの方zの位置にいるとしましょう。その場合1.1倍なら安心はできないものの合格できる可能性が五分五分よりはありそうです。しかし、1.5倍だとボーダーより下になり合格の可能性は50%以下になります。2.0倍だとよほど運がよくないと合格は難しいでしょう。
真ん中のYの位置にいた場合、1.5倍なら合格の可能性が高く、2.0倍にも努力次第で手がとどく場所にいると言えますね。
このように、実力に見合う受験校での合格の可能性を判断するために倍率は必要なんだ。
志願先変更と倍率
公立高校入試には「志願先変更」というルールを設けている都道府県が多くあります。
志願先変更ができる場合は、希望する人は一度だけ受験校を変えることができます。そのときに1つの判断材料となるのが最終応募倍率です。実力にてらしあわせた考え方で、出願した学校をそのまま受験するか、それとも別の学校に変えるかを判断することになります。
この判断は意外に難しいのです。というのは、みんながあなたと同じ最終応募倍率を見て動くから。たとえばこんなことが起こります。
D高校 1.30倍
E高校 1.08倍
この2つの高校はだいたい同じレベルで、あなたは迷った末D高校に出願していました。ですが倍率を見ると大きな差がついています。そこでE高校に志願先変更をしました。
当然の行動ですよね。ところが、志願先変更後の確定応募倍率を見ると......
D高校 1.30倍→1.15倍
E高校 1.08倍→1.25倍
なんと、E高校の方が倍率が高くなってしまいました。
何人かの人があなたと同じ考えでD高校からE高校に移ったためです。
最終応募倍率をみて志願先変更を検討する場合は、1人で決めるのではなく自分の学力を知っている受験経験の豊富な学校の先生や塾の先生に相談しましょう。
志望校を考えるときに気になる倍率だけど、倍率だけで判断せず、自分の実力と今後の頑張りを加味したうえで、志望校を考える必要があるよ。
少しぐらい倍率が高くても、「そんなの関係ない、大丈夫」と思える力と自信をつけられるのが一番です。すぐに学力に自信をつけるのは無理ですが、効率的な学習と定期的な模試の成果の積み重ねで自信をつけていきましょう。
栄光の高校受験対策では都道府県によって異なる高校入試の制度や出題傾向、最新の受験情報をもとに、進路指導を行ったうえで目標達成に必要な学習プランを作成し、苦手対策、定期テスト対策、志望校対策も、講師が生徒1人ひとりに寄り添って指導します。少人数で発言や質問がしやすく、仲間と切磋琢磨しながら成長できるグループ指導と、先生と隣り合わせでわからないところや苦手を中心に、自分のペースで学習を進められる個別指導があります。自分に合った指導形態で合格に向かって効率よく学習を進めることができます。家庭学習指導にも力を入れており、志望校合格に必要な学習内容をご提案。また、模試の結果を細かく分析したうえで苦手分野を徹底的に対策することで成績向上につなげます。
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